診断の考え方:怖さと危険度を分け、分からないことを「確認カード」にする
リスクカード診断は、経営者やサイト管理者が専門知識なしで「何を守りたいか」「何を持っているか」「いま誰に何を確認すればよいか」を整理するための一次診断です。このページでは、結果の出し方の考え方をまとめます。
1. 「怖い事故」と「危険度」は別に扱う
被害カードの並び順は、経営者として最も避けたい事故の順番です。これは大切な経営判断ですが、その事故が実際に起こりやすいかどうか(成立可能性)とは別物です。そこで診断では、次の4つを分けて持ちます。
| 軸 | 意味 |
|---|---|
| 影響度(1〜5) | 起きたときの事業・顧客・取引先への被害。情報の種類・件数・業務の重要度から暫定評価 |
| 成立可能性(1〜5) | 今の環境で起き得るか。担当者の確認で証拠がある場合だけ入力 |
| 希望優先度 | あなたが並べた被害カードの順位。危険度の数値には掛けない |
| 判断の確度 | 証拠確認済/担当者申告/利用者推測/不明 |
危険度は「影響度×成立可能性」の5×5マトリクスで整理しますが、根拠が揃わないものは数字を埋めず「未判定」レーンに置きます。想像で5×5を埋めると、安心も警戒も間違った方向に働くからです。
2. 情報は「種類」だけでなく「扱い方」で見る
同じ「氏名」でも、氏名だけを数十件持つのと、氏名・メール・購入履歴が紐づいて数千件あるのとでは、漏えい時の影響がまったく違います。そのため情報カードを手札に入れたあと、必要なときだけ「紐づいているか」「おおよその規模」「保存先」をまとめて1回だけ確認します。
パスワードも「暗号化していますか?」とは聞きません。自社で認証データを持つのか、外部認証を使うのかを分け、保管方式の確認は技術担当あての確認カードに回します。本物のパスワードやカード番号を入力することはありません。
3. 復旧は「希望」と「実力」を分ける
「4時間以内に戻したい」は希望で、「4時間で戻せる」は実力です。停止・完全破壊・データ消失を優先した場合は、経営者の希望と、契約・障害実績・復旧演習で確かめた実力を別々に表示します。バックアップを毎日取っていても、復元を試したことがなければ「実際に戻せる」とは判断せず「未検証」と表示します。
4. 分からないことは「誰に何を聞くか」に変える
「不明」と答えたことは、危険とも安全とも扱いません。その代わりに、確認先・平易な質問文・見せてほしい資料をまとめた確認カードを作ります。同じ担当者への同じ確認は1枚にまとめ、開発会社・保守会社・経理など相手ごとに束ねて表示します。カードの状態を「証拠確認済」にすると、そのシナリオに限って成立可能性を入力できるようになります。
5. 優先を下げても、消さない
被害カードを「まあ後回し」に置いても、確認対象からは消えません。法令・契約・第三者への重大な影響(要配慮情報やカード情報の取り扱い、外部公開サーバーの踏み台化など)は、あなたの並び順にかかわらずレポートに残します。
この診断の限界
これは情報整理と対応の一次診断です。脆弱性スキャン、侵入テスト、セキュリティ監査、法令適合性の証明の代わりにはなりません。結果は申告に基づく暫定的なもので、最終的な判断は担当者や専門家の確認を経て行ってください。
背景となる考え方:IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」、NIST Cybersecurity Framework 2.0、PCI SSC FAQ(外部委託でも責任が完全にはなくならない)、個人情報保護委員会「漏えい等の対応」。カード数や分岐上限などはこのツール独自の設計です。
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